慎重投与
IgA欠損症の患者
IgA欠損症の患者
[抗IgA抗体を保有する患者では過敏反応を起こすおそれがある。]
設定理由
抗IgA抗体を保有する患者では過敏反応を起こすおそれがあります。
対処法
IgA欠損症患者で過敏症が現れた時の対処法
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- 一般的には、アナフィラキシー症状が発現した場合の対処法に準じます。
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- IVIGの投与の中止、あるいは投与速度を遅くします。
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- 症状に応じた処置を行います(酸素吸入、アドレナリンやステロイドの使用など)。
予防法
IgA欠損症患者における過敏症を予防するには1)~3)
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- 投与速度を遅く設定します(ベニロンの投与速度参照)。
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- 初回投与前にIgAを測定します。
- ●
- 血清中IgAが5mg/dL以下の患者においては、治療中に抗IgA抗体を測定することが望まれ、抗IgA抗体活性が検出された場合には、IgA含有量の少ない製剤を選択します1)。
※IVIG製剤には通常、IgAが含まれます。含有量は製剤、ロットにより若干異なることが報告されています。2)
- ●
- あらかじめステロイドを静脈内投与します2),3)。
※低ガンマグロブリン血症の患者に対し、IVIG投与前にステロイドを投与することで
副作用が低減できたとの報告があります3)。
過敏症の発現機序1)
IgA欠損症患者の血中にヒト由来のIgAを含んだ薬剤を投与すると、IgAに対する抗体を産生することがあり、その生産した抗IgA抗体を持つ患者に新鮮凍結血漿やIgAを含む免疫グロブリン製剤を投与すると、製剤に含まれるIgAに対し抗IgA抗体が反応し、アナフィラキシーを起こすことがあります。
過敏症のリスク患者
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- IgA欠損症患者(抗IgA抗体産生のリスクが高いといわれています)1),2)
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- 抗IgA抗体保有者1)
- 参考文献
- 1)
- 螺良英郎: 図説免疫グロブリン療法, ライフサイエンス, 東京, 1988: 45-46.
- 2)
- 尾鳥勝也, ほか: 医療薬学, 2014; 40(8): 433-440.
- 3)
- Lederman HM, et al: Am J Med 1986; 81(3): 443-436.