自己免疫疾患治療におけるIVIGの作用機序
獲得免疫細胞に及ぼすIVIGの影響
T細胞サブセットに及ぼす影響
in vitroの検討では、IVIGによって免疫抑制剤であるカルシニューリン阻害剤と同レベルでT細胞の増殖やサイトカインの産生が抑制されることが報告されています1,2)。IVIGがT細胞の活性化を抑制する作用機序は完全には解明されてはいませんが、複数の経路が関与している可能性が考えられています。
また、異なるT細胞サブセットに対するIVIGの影響に関しては不明な点が多く残されていますが、制御性T細胞の機能への影響に関しては、in vitroおよびin vivoの検討において、IVIGによる制御性T細胞の機能拡大・増強が示されています3-6)。制御性T細胞の活性化は、T細胞に対するIVIGの直接的な作用のうち大部分を占めると考えられています。
- 参考文献
- 1)
- Tha-In et al. Transplantation 2006; 81: 1725-1734.
- 2)
- Modiano et al. Clin Immunol Immunopathol. 1997; 83: 77-85.
- 3)
- Ephrem et al. Blood. 2008; 111: 715–722.
- 4)
- Furuno et al. J. Pediatr. 2004; 145: 385–390.
- 5)
- Chi et al. J. Neuroimmunol. 2007; 192: 206–214.
- 6)
- Kessel et al. J. Immunol. 2007; 179: 5571–5575.
B細胞への影響
B細胞に対するIVIGの影響として、FcγRIIBを介したシグナル伝達系の活性化による自己反応性Bリンパ球の増殖抑制、イディオタイプを介するB細胞受容体の抑制、ならびにB細胞生存因子、B細胞活性化因子(BAFF)、a proliferation inducing ligand(APRIL)といったサイトカインの中和作用も報告されています7-13)。
また、IVIGに含まれる抗イディオタイプ抗体がB細胞表面のIgGまたはIgMに結合することで、病原性自己抗体の産生が抑制されることも示されています14)。さらに、IVIGによって、特定のBリンパ球サブセットから種々の自己抗原および非自己抗原に反応するIgGが分泌されることも報告されています13)。
- 参考文献
- 7)
- Prasad, et al. J. Immunol. 1998; 161: 3781–3790.
- 8)
- Shoenfeld, et al. Int. Immunol. 2002; 14: 1303–1311.
- 9)
- Crow et al. Blood. 2003; 102: 558–560.
- 10)
- Toyoda et al. Am. J. Transplant. 2003; 3: 156–166.
- 11)
- Blank, et al. Int. Immunol. 2007; 19: 857–865.
- 12)
- Le Pottier et al. J. Clin. Immunol. 2007; 27: 257–265.
- 13)
- de Grandmont et al. Blood. 2003; 101: 3065–3073.
- 14)
- Kazatchkine and Kaveri, N. Engl. J. Med. 2001; 345: 747–755.